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コラム

オーストラリアで家を買う

上田大介, 林由紀夫 · 2020年10月26日

Q:ようやく永住権も取れ、今度一軒家の購入を考えています。銀行にローンを組む話をしに行ったところ、不動産購入には弁護士が必要になると言われました。不動産購入のためになぜ弁護士が必要になるのですか? 

A:オーストラリアで不動産を売買する際の契約書は、日本のそれと比べて一般的に大変専門的で複雑です。契約書に付随する書類の量も膨大です。土地を購入する場合、その土地の登記人の確認、担保の有無、その土地に対する制限(Covenantsやゾーニング等)、上下水道の接続、法律上必要である認可が取れているか、等々を確認する必要があります。そのためには、やはり弁護士の専門知識が必要になります。通常プリントされた標準的な売買契約書を使います。一般的に売買契約書は売り主有利に作成されていますので、個々の重要と思われる条件についても、アドバイスを受けるのが良いと思います。それに加え、契約書には特別条項(Special conditions)といったものが設けられています。これら特別条項はその個々の取り決めに特化した条項であり、その妥当性の確認が大変重要になります。

合意できない条件については弁護士が交渉を代行します。

売買契約書にサインをした後も、決済(売買代金の支払いと鍵の受け渡し)までの間に、様々な手続きが生じます。例えば、土地登記・印紙税支払いの準備をしたり、決済日に向けて銀行との間でローンや担保設定に関する書類を整えたり、決済当日に売手に支払う金額の計算をしたり…これらの作業も弁護士が行います。特に重要な役割は、決済代金の支払いの後の正確な所有権の移転の確認です。

万が一、買手側の理由(銀行による手続きの遅れも含む)で決済が決済日に行われなかった場合、未払いの決済代金に対し、決済日からその支払いが行われるまでの間、延滞罰則金が課される事になります。しかし弁護士を立てることにより、売手及び銀行との連絡を密に取り、そうしたリスクを最小限に抑えることができます。

また、近年は決済手続きや土地登記は原則的にオンラインで行われるようになっており、このオンライン手続きは弁護士に依頼する必要があるでしょう。

一般人にとって、不動産は人生の中で最も高価な買い物です。従って、専門家を立てることにより、安全かつ安心な不動産購入を行ってください。費用もそれほど高額ではありません。

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不動産購入 ― 瑕疵物件、購入後キャンセル出来るか

Q1:最近、不動産業者を通じてアパートの一室を購入しました。買った後になって、この部屋で1年前に強盗殺人があったという事がわかりました。気味が悪くて、とてもじゃないけど住めません。この不動産購入をキャンセルする事はできますか? A1:日本で言うところの瑕疵物件ですね。オーストラリアにおいても、こうした「訳アリ」の物件の売買に関する法律が幾つかあります。まず、基本的には、物件の売買に関して買い手は、自己の責任において、物件購入前にこうした瑕疵の有無を調査する事が求められます(これを「Caveat Emptor」と言います)。 しかし今回のように、不動産を不動産業者を通じて購入する場合については、不動産の買い手を保護するための法律が別に存在します。例えばNSW州のProperty, Stock and Business Agents Act 2002の52条は、不動産業者がその物件に「瑕疵」があると知っていたにも関わらず、それについて黙ったまま物件の売買契約を結ぶ事を禁じています。また、消費者保護法(Australian Consumer Law)にも、似たような条項があります(第18条)。 「瑕疵」とはどの様なものかというと、「一般的な不動産購入者にとって、その不動産の購入をするか否かの重要な判断基準になり得るもの」とされています。こういった瑕疵には“精神的な汚点(Psychological Stigma)も含まれる”とされており、NSW Fair Tradingによれば、そのアパートの部屋で重大な犯罪が行われた場合などが“精神的な汚点に相当する”とされています。 今回の相談のように、購入後その不動産が「訳アリ」であると発覚した場合、この不動産購入を白紙に戻し、購入金額の全額返還を求めるというのは原則的にできないでしょう。しかし、消費者保護法に基づき賠償を求めて訴えを起こす事は可能です( 第236条)。賠償額は、この瑕疵が知られていたと仮定した上で予想されるこの物件の市場価格と、購入者が実際に支払った購入価格との差額になります。例えば、1年前の強盗殺人事件による“精神的汚点”の影響を考慮した上で「当該物件の市場価格は600,000ドルである」という査定結果が出たとします。しかし不動産業者がこの瑕疵について黙っていたために相談者は750,000ドルでその物件を購入した場合には、その差額150,000ドルの賠償を求めて訴える事になるでしょう。相談者がこの物件を査定額通りの600,000ドルで購入していた場合には、無論、賠償を求める事は出来ません。また、こうした賠償・契約無効の問題とは別に、この不動産会社が前の居住者の強盗殺人の事実を知っていた上で、これを購入者に知らせなかった場合は、不動産業者は罰せられる事があります(上記不動産業者に関する法律52条1項)。

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