税法
また、企業法務、M&A、不動産、金融・銀行関連法務の各部門と連携し、経験豊富な会計士・税理士とも協力することで、クライアントに対して包括的かつ実務的なサポートを提供いたします。
複雑なオーストラリアの税制において、クライアントが最適な税務結果を得られるよう、明確で実用的なアドバイスを心がけております。

Professionals

林由紀夫
パートナー弁護士

ティンロク・シェ
パートナー弁護士
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2025年12月4日
不動産購入時に注意すべき「土地利用制限」Restriction on Use
土地や住宅を購入する際、登記上に記載されている「土地利用制限」(Restriction on Use)に注意する必要があります。これらは、購入後の利用や将来の売却に大きな影響を及ぼす可能性があります。 「土地利用制限」とは? 「土地利用制限」とは、土地の使い方を制限する規則のことです。例えば、「特定の建材しか使用できない」「建物の高さやデザインに制限がある」「商業利用を禁止する」「どのような建物を建てられるか」「樹木の伐採禁止」といった基準が設けられ、分譲地全体の品質・景観・資産価値を守る役割を果たしています。 設定するのは主に開発業者や自治体(カウンシル)です。開発業者は分譲地の価値維持を目的に、自治体は都市計画や環境整備の一環として設定する場合があります。 違反した場合のリスク(NSW州での取り扱い) 「土地利用制限」に違反したからといってすぐにトラブルになるとは限りませんが、NSW州では、土地に付帯する制限に違反する行為を行うと、以下のようなリスクが発生し、深刻な問題につながる可能性があります。 • 自治体からの差止命令・是正命令 • 開発申請の拒否・証明書発行の拒否・建築の不許可 • 違反建築物の撤去命令 • 損害賠償請求 • 近隣の住人からの法的措置 • 売却時の困難(買主側の弁護士が違反を発見すると、購入希望者が契約を撤回する、大幅な価格交渉を受ける、売主に補償や是正義務を負わせる要求をされるといったような不利益が生じる可能性があります。) 「土地利用制限」は、その土地の承継人にも全面的に引き継がれる義務です。例えば、前の所有者が保護された樹木を伐採して違反した場合でも、現所有者はその是正責任を負い、再植樹や環境補償措置を命じられるリスクがあります。違反状態が未解消のままであれば、上記のような実務的リスクが極めて大きくなります。現所有者は過去の違反行為そのものについては責任を負いませんが、土地が制限に適合した状態に戻るまでの是正義務を免れることはできません。 弁護士に相談する重要性 「土地利用制限」は、不動産購入後の生活や投資に直結する重要な要素です。同制限の条件は複雑で不明瞭な場合が少なくありません。専門的な知識がなければ正確に理解するのは困難です。購入前に弁護士が確認すれば、既存の建物が制限に違反していないかをチェックでき、将来的なリスクを避けることが可能です。知らずに違反してしまうと、思わぬ損失やトラブルを招きかねません。購入・売却を検討される際は、必ず専門家にご相談ください。 当事務所では、NSW、QLD、VICの不動産取引に関する豊富な経験を持つ弁護士が、契約内容や制限条項の確認、将来的なリスクの回避について丁寧にサポートいたします。初回相談のご予約や詳細については、お電話またはメールにてお気軽にお問い合わせください。
税務訴訟,労働法訴訟,企業年金(Superannuation),雇用 · コンサルタント契約,異議申し立て,競業避止義務
2025年11月27日
雇用か請負か?今こそ「シャム・コントラクト(偽装請負)」の見直しを
ここ数年、従業員として雇うべき人にABNを取らせ、コントラクター契約で働かせるというケースが問題になっています。 一見するとコスト削減のように見えても、実態が雇用関係に近い場合は「偽装請負(Sham Contract)」とみなされ、Fair WorkやATO(税務当局)からの調査・制裁対象となります。 見直しが必要な理由 • 2024年8月26日施行の法改正で「雇用」の定義が変更され、契約書の文言よりも実際の働き方(実態)で従業員かコントラクターかが判断されるようになりました。 • 2025年1月から「意図的な賃金不払い」が刑事罰の対象になりました。 • 誤った契約形態が発覚すると、未払い賃金・Superの遡及支払いに加え、高額の罰金(個人$19,800/小規模事業$99,000/15名超事業$495,000)が科されるおそれがあり、経営上のリスクが一段と高まっています。 雇用と請負の基本的な違い 従業員と独立請負人の本質的な違いは次のとおりです。 • 従業員:貴社の事業に従事し、貴社の一員として業務を遂行します。 • コントラクター:貴社にサービスを提供しますが、自己の事業の発展のために業務を遂行します。 以下の表に照らし合わせ、自身の勤務体系がコントラクターではないと思う方はFair Workに調査を依頼すべきです。 一部の独立請負人にも生じ得るスーパー支払義務 一定の状況では、コントラクターであっても、年金(superannuation)の規定上従業員とみなされ、貴社にスーパー(Superannuation)の支払義務が生じます。例えば、労働者が次のいずれかに該当する場合です。 • 契約が全面的または主として労務の提供を目的としている。(例:現場作業員・ドライバー・介護スタッフなど)では、ABNを持っていてもSuper支払い義務が発生することがあります。) • 家事的性質の業務を週30時間超行っている。 • スポーツ選手・芸術家・エンターテイナーで、音楽、演劇、舞踊、エンタメ、スポーツ、展示、販促その他類似の活動の出演・実演・参加の対価として報酬が支払われる。 • 上記の活動への出演・実演・参加に関連するサービスの提供対価として報酬が支払われる。 • 映画・テープ・ディスク・テレビ/ラジオ放送の制作に関連するサービスの提供対価として報酬が支払われる。 経営者が負うリスク • ATOペナルティ:PAYG未納・Super未払い・利息・事務手数料 • Super Guarantee Charge(SGC):不足額+利息+手数料に加え、最大200%の追加罰金 • Fair Work違反:偽装請負(Sham Contract)で1件あたり最大$495,000の民事罰 • 刑事罰(2025年1月〜):意図的な賃金不払い 経営者がすべきこと 1. 全従業者の契約形態を精査する → 「実態は従業員ではないか?」を確認 2. Super(年金)やPAYGの支払い状況をチェック → 未払いがあれば早めに是正 3.
契約に関する紛争,異議申し立て,契約書・商業契約全般
2025年9月26日
小規模事業者再編制度(Small Business Restructuring)
小規模事業者再編制度(Small Business Restructuring) 2021年に導入された小規模事業者再編制度(Small Business Restructuring=SBR)は、オーストラリア全土の小規模事業者、特に近年の経済低迷の影響を受けた企業にとって、会社清算に代わる重要な選択肢となっています。 特にファミリービジネスを含む小規模企業の事業継続を支援するために設計されたSBRは、企業が営業を続けながら、法的に財務状況をリセットできる仕組みです。 事業継続のための法的手段 SBRは、債務超過に直面した小規模事業者が、従来の清算手続きによる会社閉鎖を回避できるように設けられました。 SBRを利用することで、該当企業は債権者に対して再編計画を提案し、会社法(Corporations Act)に基づき、債務の削減や免除を求めることが可能です。 このプロセスにより、企業は営業を継続しながら、法的に整理された形で財務問題に対処できます。 利用資格と手続き SBRを利用するには、総債務額が100万ドル以下であり、未払いの従業員賃金や年金(superannuation)は含まれていないことが条件になります。 SBRの実行には債権者の承認が必要です。債権者の投票権は貸している金額によって決まり、債務全体の51%以上を持つ債権者が最終決定権を持つことになります。 利用増加とその影響 ASICの最新データによると、SBRの申請件数は大幅に増加しており、昨年は約3,000件が債権者に提示されました。 この増加は、SBRの認知度向上と、多くの小規模事業者が厳しい経営環境に直面していることを反映しています。 特に飲食業界は大きな打撃を受けており、同業界の10社に1社が昨年清算されました。 多くの再編計画では、債務額が20万〜40万ドルの範囲で、債務の最大80%の免除を債権者に求めています。 SBRの約80%が承認されているのも注目すべき点です。 オーストラリア税務局(ATO)の役割 SBR案件の93%に関与しているオーストラリア税務局(ATO)は、最大の債権者(GST) として重要な役割を果たしています。 ATOはこれまでに約2,500件のSBR計画を承認しており、2024-25会計年度3月時点では、ATOが債権者となった再編計画の約80%に賛成票を投じています。 宿泊業および飲食業(カフェ、レストラン、テイクアウトサービスを含む)は、SBR全体の22%を占めています。 ATOの関与が大きいため、再編計画の可否はほとんどの場合、ATOの判断に左右されます。 ATOが再編計画に賛成すれば、他の小口債権者もその計画に組み込まれる形となります。 制度のセーフガードと除外規定 制度の健全性を保つため、過去7年以内に清算や再編に関与した取締役がいる企業は、SBRの申請資格がありません。
労働法訴訟,企業年金(Superannuation)
2025年9月25日
賃金未払いが刑事犯罪に -賃金未払いに関する新しい法律について
賃金未払いが刑事犯罪に -賃金未払いに関する新しい法律について • 新法により、2025年1月1日より、賃金の意図的な未払いは刑事犯罪となりました。 • 企業が安心して事業を続けるために、正確な給与計算、定期監査、早期是正の手続きを行う必要があります。 • 当事務所では、未払い防止体制の整備や監査のサポート、是正手続きのご相談に対応しております。 1. 新しい法律の概要 2025年1月1日より、従業員への賃金や手当の「意図的な未払い」は、オーストラリアのFair Work Legislation Amendment (Closing Loopholes) Act 2023に基づく刑事犯罪となりました。 • 単なる計算ミスや事務的な誤りではなく、知りながら支払わない行為が対象となります。 • 違反が認められると、企業や経営者は高額な罰金や懲役刑を受ける可能性があります。 2. 「意図的な未払い」とは 次のような場合が「意図的」と判断される可能性があります。 • 法定最低賃金や残業代を認識していながら支払わない • 就業規則や契約に定められた義務を故意に無視する • 監査や指摘を受けても是正せず、未払いを続ける 3.
国際税法,異議申し立て
2021年11月29日
日豪間の税務問題
Q:在豪10年の永住者です。不動産購入のための頭金の一部を、日本の両親が援助してくれることになりました。頭金の一部を父から受け取ることに関し、税金等、何か問題が生じますか? A:この問題については、特に日本とオーストラリア、両国の税法に関し確認する必要があります。 日本の税法については、言うまでもなく贈与税の問題が生じる可能性があります。一昔前であれば、受贈者が海外にある程度の年数居住している場合には、贈与税を回避できました。しかし過去、大手消費者金融会社のオーナーが香港永住者の息子にその株を贈与した際に、多額の贈与税が回避されてしまった事件をきっかけに、日本の税法が改正され、受贈者が海外にどれだけ長く永住していたとしても、贈与税は回避できなくなりました。しかし贈与額や贈与目的によっては控除が可能な場合も多々ありますので、詳しくは日本の税理士等の専門家とご相談されるのが良いと思います。 オーストラリアにおいては、日本の贈与税に直接相当するものはありませんが、その贈与の状況によっては、Capital Gain Taxの問題が生じる可能性もありますので注意する必要があります。 また最近では、オーストラリア国税局が「海外からの収入の秘匿に関するTaxpayer Alert」を発表し、海外からの送金につき、税務当局の対応が厳しくなりました。オーストラリア居住者が海外から収入を得ている場合、原則的に、その海外からの収入についてもオーストラリア国税局に申告する義務があり、所得税の課税対象になります。しかしこの送金が贈与・融資ということであれば、それは“収入”ではなく、所得税の対象にはなりません。そこでこの点を利用し、海外からの収入を贈与や融資であるかのようにみせかけた脱税行為が多発していたようです。 ただし、親子間で純粋にローンを組む事もあります。そのような場合には、金利、返済スケジュール等が明記された一般的なローン契約の締結が必要になると思います。この点も事前に日本の専門家に相談されることをお勧めします。 今回の相談のケースでは、上述の理由から税務当局からその送金についての問い合わせがあるかも知れません。「贈与」であることを立証する義務は納税者側にありますので、贈与証明書等を作成して交わしておき、必要に応じてそれを提出できるようにしておくことをお勧めします。無論、その送金に関し日本で贈与税の納税がされているような場合には、ほとんど問題はありません。
法人税および個人税に関するアドバイス
2020年8月1日
オーストラリアの税法 ― 2020年度タックスリターン
2020年の3月に始まったCOVID-19に関する様々な規制により、多くの人々が在宅勤務をすることになりました。本記事では、在宅勤務に関する経費・税金控除についてご説明します。 仕事に関し必要となる出費は、“経費”ということで税金の控除対象になり得るわけですが、では法律上、どういった出費を経費扱いにできるのか?という点は、一般人にとってあまり馴染みのない分野かもしれません。そこでオーストラリア国税局(ATO)は2020会計年度タックス・リターンに関する経費・税金控除のための、簡略化された計算方法(以下「ショートカット計算法」といいます)を新たに発表しました。 まず原則として、出費が経費として認められる(税金控除対象となる)ためには、以下の三条件を満たす必要があります。 以下、3種類の税金控除計算方法につき概要を説明します。 Q:COVID-19の影響が出る前に購入した什器備品に関して、減価償却計上はできる? A:それが在宅勤務のために実際に使われていた什器備品 であれば、COVID-19以前に購入したものであっても減価償却計上は可能です(但し既に全額償却されたものは除く) 例:ノートパソコンの有効寿命2年ですので、仮にこれを去年購入していたとしても、それが仕事用のものであれば、今年のタックスリターンでも減価償却の対象となります。 このノートパソコンを1年前に$4000で購入していたとして、私用・仕事目的の使用割合が50/50だったとします。これを3月1日から6月30日まで(121日)の期間分に渡り減価償却計上する場合: $4000 (コスト) × 50%( 2年の有効期間中1年) × 33%(121日 / 365日) × 50%(総使用時間に対する仕事目的での使用時間) = $330 ということになり、(もしも他の経費のクレームを一切しなかったとしても)定率計算法を適用したほうが、ショートカット計算法よりも、節税ができることになります。 もしも2年以上前にノートパソコンを購入している場合は、有効寿命を過ぎて全額償却済みということになりますので、控除対象にはなりません。 Q:住宅ローン、賃料、市税などを、「ホームオフィス関連の出費」ということで経費扱いにできる? A:平時から自宅を職場として使用している個人事業主の場合でしたら、これらを経費扱いにできる場合もあるかも知れませんが、普段は会社で勤務している従業員がコロナの影響で在宅勤務に切り替わったというだけでは、これらの不動産関係の出費は経費扱いにはできないと考えます。 これら不動産関係の出費を経費として計上するには: ちなみに、自宅を職場として使うような場合、“Main Residence減税”が一部適用外となってしまうリスクがありますので気をつけましょう。 Q:雇用者から在宅勤務手当を受け取っている場合でも、在宅勤務関係の経費計上はできる? A:経費計上は可能ですが、そうした在宅勤務手当については、“所得”として、タックスリターンの際に申告しなくてはいけません。 Q:ホームオフィスから職場への移動にかかる費用を“出張費”として経費計上できる? A:ホームオフィスは自宅扱いです。出勤・帰宅は出張扱いにできません。 Q:Jobseekerは非課税? A:Jobseekerは“所得”扱いになりますので、タックスリターンの際に申告する必要があります。しかし、もしもJobseekerを含む総所得が非課税基準額($18,200)に満たない場合は、所得税は非課税となります。 注:Superannuationの早期引き出しについて Superannuationの早期引き出しを不適切におこなってしまうと、ATOの監査が入る可能性が高くなりますので注意が必要です。Superannuationの早期引き出しが可能となるためには: 等の条件を満たす必要があります。 もしも上記のような条件を満たしていないにも関わらずSuperannuationの早期引き出しをするようなことがあると、その引き出し分に対して課税され、罰金の対象となってしまう場合があります。もし不運にもこうした状況に陥ってしまった場合、又は一般的な税務関係の質問がある場合は、お気軽に当事務所にお問い合わせください。 ATOウェブサイト:ホームオフィス関連の経費について https://www.ato.gov.au/Individuals/Income-and-deductions/Deductions-you-can-claim/Home-office-expenses/ ATOウェブサイト: 減価償却と有効寿命について https://www.ato.gov.au/law/view/pdf?DocID=TXR%2FTR20195%2FNAT%2FATO%2F00001&filename=law/view/pdf/pbr/tr2019-005c1.pdf