Q:先日、上司から「残念ながら“リダンダンシー”の理由で君を解雇せざるを得なくなった」という旨の話がありました。普通の解雇とリダンダンシーはどう違うのでしょうか?
A: “解雇”には、色々な形態があります。“Redundancyによる解雇”は、日本語では“整理解雇”と訳されるのが一般的です。リストラと言っても良いでしょう。その従業員の仕事の能力を理由とした解雇ではなく、雇用主である会社の運営上の理由により、当該従業員のポジションそれ自体が必要無くなった(Redundantになった)時にとられる解雇形態です。
リダンダンシーにより解雇された従業員に対しては、通常の解雇に際し従業員が有する権利(解雇通知を受け取る権利、未消化Annual Leaveの払い出し、場合によってはLong Service Leaveの払い出し)に加え、整理解雇手当(Redundancy Pay)として、勤続年数に応じた手当が支払われます。かつ、他の解雇の場合と違い、リダンダンシーに関し、受け取った支払に対しては、税務上優遇措置が設けられています。従い、その解雇が正当な(genuine) リダンダンシーであるか否かにつき、税務当局とたまに争いが起きることがあります。更に、労使協定によっては、解雇通知が出されてから最終出勤日までの間、求職のための特殊有給休暇取得の権利も従業員に与えられます。
正当なリダンダンシーとは、例えば、自動化プログラムやロボット等を新たに使うことになった結果、それまでは人力で行わわれていた仕事につき、人手を必要としなくなった場合や、組織再編に伴い、部署全体が消滅する場合等がそれにあたります。つまり、リダンダンシーの場合、その従業員のポジションが会社の運営上の理由によりなくなったということです。
昨今のコロナ不況に関連し、仕事量が激減したために人的資源が一時的(将来コロナの問題が解決すれば職場復帰が望まれている場合)に余剰となった従業員はリダンダンシーにはなり得ません。そのような場合には、一時的に従業員を「Stand down」(一時的な無給待機)にすることでの対処は可能かも知れません。
会社はRedundancyの対象となった従業員と話し合いを持ち、かつ、組織内で異動可能な他の妥当な役職があるか検討し、もしもそのような役職がある場合には、それを与える必要があります。このような決められた手続きを踏まないRedundancyとする解雇は、不当解雇のクレームを招くリスクがあります。