取り扱い分野
主な 職歴・実績
学歴
メンバーシップ
コラム
MORE >
当事務所関連
H & H Lawyersはこのたび、オーストラリア日本の弁護士法人「賢誠総合法律事務所」、税理士法人「山田&パートナーズ」、および日豪会計事務所「ブリース洋子公認会計士事務所」と共催で、遺産相続法に関するセミナーを開催いたしました。 ご参加いただきました皆様に、心より御礼申し上げます。参加者の皆様、ならびに共催者の皆様のご協力のおかげで、大変有意義で充実したセッションとなりました。 日本とオーストラリアの両国に資産をお持ちの方々にとって、それぞれの国の相続法の違いを理解しておくことは非常に重要です。相続は多くの場合、差し迫った状況にならない限り意識されにくいテーマですが、実際に問題が生じた際に日豪の異なる法制度に直面することは、大きな精神的・経済的負担となりかねません。そのようなリスクを避けるためにも、事前の準備と適切な計画が不可欠です。 相続や遺言に関するご相談がございましたら、どうぞお気軽に当事務所までお問い合わせください。
09 Apr 2025
セミナー
On 17 April 2024, H & H Lawyers hosted a seminar on the topic "Japan/Australia Cross-border Employment – Legal Issues for a Mobile Workforce"in collaboration withthe Australia-Japan Society of NSW Inc. (AJS-NSW). Our Tin-Lok Shea and Ueda Daisuke, and Ken Takahashi of Kensei Law Office (Kyoto), gave presentationsaddressingsome ofthe legal pitfalls arising from cross-border employment between Australia and Japan.It was particularly enlightening having Mr Takahashi provide his insights as Japan qualified lawyer ("bengoshi"). The seminar was well-attended by AJS members and generated plenty of discussions afterwards duringa networking session over cheeseandwine(handpicked by our very own sommelier, Ueda Daisuke).Since 1996, we have been advising many Australian and Japanese companies in relation to their inbound and outbound cross-border transactions across a wide range of industry and business sectors such as property, retail, biomedical, construction, energy, financial services, education, franchise, hospitality, mining and manufacturing.
22 Apr 2024
労働法
Q:5年ほど前に“カジュアル従業員”として雇われ、月~金、9~17時の出勤で、法律上の最低賃金に25%のカジュアル手当を加えた給料が支払われています。この間、友達から「それって実質的に はパーマネント(フルタイム)従業員なんだから、有給休暇とかの権利があるんじゃない?」という指摘を受けました。私には実質的なフルタイム従業員として、そのような権利があるのでしょうか? A:正確なアドバイスをするためには事実関係を詳しく分析する必要がありますが、原則的に、カジュアル従業員としての雇用契約書を提示され、合意し、基本時給に25%増しのカジュアル手当が支払われているのであれば、フルタイム従業員と同じ勤務時間で働いていたとしても、それはカジュアル雇用だと考えられます。 しかし、だからといってフルタイム従業員の持つ権利をカジュアル従業員は全く持たないというわけではありません。例えば、カジュアル従業員はAnnual LeaveやPersonal Leaveの取得権利こそ有しないものの、Long Service Leaveの取得権利は発生する可能性があります。 また、そのカジュアル雇用が「定期的かつ体系的なものであり、継続的な雇用が妥当に期待できるもの(Regular and systematic basis with reasonable expectation of continuing employment)」である場合には、不当解雇の訴えを起こす権利や、Flexible Work Arrangementを求める権利も生じえます。 現実問題として、今回の相談者のように、カジュアルで長期間に渡りフルタイム従業員のような勤務時間で働いている場合、上記のような権利が生じるかは事実関係に委ねられ、明確にはなっていません。こうした問題を回避すべく、近年、法律の改正があり、多くのカジュアル雇用において( “Small Business” 等の例外もありますが)、定期的に継続するカジュアル雇用が開始してから12か月が経過した従業員に対して、雇用主は、フルタイムまたはパートタイム(パーマネント)雇用への変更をオファーする義務を負うことになりました。あくまでオファーなのであって、従業員として「私はカジュアル雇用を継続したい」というのであれば、断っても問題ありません。この法改正により、少なくとも1年目において、雇用ステータスを明確にし、後に「私は実質的にフルタイム従業員なのでは?」という問題が起きるリスクを軽減させています。 また、今回の相談者のような従業員は、最初の12か月目のパーマネント雇用オファーのタイミングの後であっても、雇用主に対してパーマネント雇用化を求める権利が生じる場合があります。雇用ステータスとその権利を明確にするためにも、まずは雇用主と相談することをお勧めします。
29 May 2023
Private Clients
Q:この間、妻と離婚の合意をしました。オーストラリアで離婚をするためには、原則的に12か月以上に渡り別居していることが必要だと聞き、寝室を別にするのはもちろんのこと、居間に間仕切りを入れて二つにしたり、キッチンの利用時間を割り当てたりしましたが、ストレスがひどく、どうにかして相手に家から出て行ってもらうことはできませんか? A:そうした状況であれば、恐らく相手のほうも早く出ていきたいと考えているのでしょうが、レントの金銭的負担が重い場合、すぐに出ていくという決断が難しいだろうと思います。 これが純粋に不動産法の問題であれば、不動産の名義人が誰であるか、大家とリース契約を結んでいるのが誰であるかによって、誰がその家に残り誰が出ていくべきかという判断は簡単につきます。しかし家族法の問題としては、名義人やリース契約の当事者が誰であるかは決定的な要素ではありません。 家庭法の問題として合法的に(元)パートナーを家から退去させるためには、裁判所から退去命令を得る必要があります。ただし裁判所からFamily Law上の退去命令を出してもらうためのハードルは高く、例えばDVなどで一方の当事者の身に危険がある場合などでなければ強制退去は難しいというのが現実です。なお、DVが伴うケースであれば、Family LawではなくCriminal Lawの問題として、警察などを通じてDomestic Violence Orderにより、DVの加害者を家から強制的に退去させるという事は比較的速やかに行うことが出来ます。 持ち家であれば、それは婚姻財産分配の対象となり、一方が退去しても、家の権利あるいは家を売却してその売却益の分配を受ける権利には影響しませんので、そのような険悪な状態を続けていくよりは、お互い話し合って、どちらが退去するか決めてはいかがでしょうか?もし話し合いが決裂した場合には、自ら家を出て婚姻財産分配のための交渉・手続きを開始してしまうというのも選択肢の一つです。元パートナーが家に残って家賃の負担なく住み続けるという状況であれば、明らかに不公平ですから、退去に当たり例えばその期間のホームローン返済は元パートナーが行うなどの条件をつけてはいかがですか?これらの負担分をすべて考慮に入れ、最終的にフェアな婚姻財産分配になるよう話し合いを行っていく事になります。
27 Apr 2023
Private Clients
Q: 半年前から、15年連れ添った専業主婦の妻と離婚を前提とした別居中です。先般妻より婚姻財産の分配について打診がありました。共同名義のマンションや、私のスーパーアニュエーション、銀行預金等を分けるのは納得できますが、私が相続した遺産も婚姻財産として分けなければいけないのでしょうか?というのも、結婚して3か月後に私の祖母が亡くなり、約$15万ドルを相続し2年後に共同名義のマンションの購入資金にあてました。ちなみにマンションの購入価格は約50万ドルで、現在は120万ドルの価値があります。また、昨年私の父が他界し父親名義の東京にある約4,000万円のマンションを相続する事になりました。 A:離婚の際に一方が相続した遺産を分配対象の婚姻財産として分けなければならないかは、相続した時期、婚姻期間、婚姻財産に対する相続した遺産の割合等が考慮されます。すなわち、相続した遺産とは言え状況によっては分配対象の婚姻財産となってしまうという事です。相談者のケースでは、約15年前に相続した祖母の遺産は、既に共同名義のマンション購入代金として充当されていて、かつそのマンションの価値が相当上がっているとすれば、婚姻財産として分配対象となる可能性が高いです。その理由として、相続した時点からかなり時間が経っている事、今のマンションの価格に対する遺産の額が比較的少ないこと、専業主婦として奥様は今のマンションの価値を上げるために貢献したとみなされる事等が考えられるからです。無論、相続した額が15万ドルではなくその10倍の150万ドルであったような場合には違った結果になり得ます。他方、昨年お亡くなりになったお父様名義のマンションについては、相続した時期が別居後であり、比較的最近のことですので、相続対象となる婚姻財産とは見做されない可能性が高いです。相談者の場合には15年前とつい最近の相続という事で、相続時期の違いにより、これが分配対象の婚姻財産かどうかの判断が比較的容易にできますが、例えば相続時期が10年前であっても、その資金が相続人名義の別口座で運用されていた場合等にはこの判断が難しくなります。分配につきお互い同意できなければ、最終的には裁判所が全体の事実関係を考慮し、遺産が婚姻財産として分配対象となるか否かを判断する事になります。
30 Mar 2023
Private Clients
Q:私は再婚し、今は現夫との間の小学生の子供二人、前夫との間の息子(16歳)と5人で生活しています。最近夫と16歳の息子の仲が上手く行っておらず、息子は家を出るとまで言い出しています。私に万が一の事があった場合、16歳の息子にも他の二人の子同様に相続権利があるのか心配です。私の主な財産としては、私名義の銀行預金、スーパーアニュエーション、現在住んでいる家、数年前に投資物件として買ったアパートがあります。不動産は共同名義です。16歳の息子にも私の財産を相続させることは出来ますか? A:相談者のように夫婦の一方あるいは両方が再婚で、前の結婚相手との間に子がいる家族構成のことを一般的に“Blended Family”といいます。こうしたBlended Familyにおいては、相続が大変複雑になる可能性があり、場合によっては相続争いに発展してしまう事があります。 初婚同士、または再婚であっても前の結婚による子供がいない夫婦の場合は、「一方が死亡したら生存している配偶者が全て相続する。双方ともに死亡したら、子らが相続する」という遺言書を双方で遺すのが一般的で、相続が問題になることは稀です。しかしBlended Familyの夫婦が同様の遺言書を遺してしまうと、夫婦の一方が死亡した場合、生存した配偶者がすべての遺産を相続する事になり、その後その遺産をどう相続させるかは、その配偶者によって決められます。つまり、その配偶者は実子以外の子の権利を排除し、「全ての遺産は実子が相続する」という内容の遺言書を遺せる事になります。 相談者の場合、例えば「私が死亡したら、私の遺産の16.6%(内訳として50%は配偶者、残り50%を3人の子らが均等に相続する)を前夫との間の子に相続させる。」としておけば、この様な状況を回避する事は出来ます。しかしながら、その16.6%をどのように相続させるかという問題は残ります。例えば、遺産の16.6%相当の価値の分配のためには不動産の売却が必要になってしまうかもしれません。遺言書の中で、「配偶者が生存中または、自宅を売却するまで、無償で自宅に住まわせる」というような権利を配偶者に残す事は可能です。 なお、留意しなければならないのは、、不動産の共同名義の登録が、Joint Tenancyというものであれば、自動的にその権利は遺された共同名義者に移ってしまいます。 一般的に、アンフェアと思われる遺言書に関しては(場合によっては遺言書の無い法定相続の場合であっても)、“Family Provision”という日本での遺留分制度に似た制度がオーストラリアにもあり、除外されたと思う相続人は、その権利が保証される場合があります。相続争いのリスクを出来るだけ避けるために、専門家のアドバイスを十分に受けた上で遺言書を用意することを強くお勧めします。
23 Jan 2023