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林由紀夫

パートナー弁護士

yukio.hayashi@hhlaw.com.au

H & H Lawyersの創立者である林由紀夫主任弁護士は、1979年、オーストラリアで初の日本人弁護士となった。弁護士資格取得後、シドニーのベーカー&マッケンジー法律事務所に入所。1980年、オーストラリア最大規模で最も伝統ある法律事務所の一つフリーヒル・ホリングデール&ページ法律事務所 (現ハーバートスミスフリーヒルズ)に入所し、同事務所商法グループに所属。1984年パートナーに昇格し、主に日系企業に対し商法の分野において、法務を行った。 1996年に独立し、H & H Lawyers の前身となる林由紀夫法律事務所設立。M&A、企業法務、税務、不動産、商業契約、企業のストラクチャー及びマネージメント、国際取引、公正取引、不動産投資開発などの分野で卓越した知識を有する。 オーストラリア及び日本の上場企業、政府機関、中小企業、個人などに対し40年以上にわたり様々な商取引に関するアドバイスを提供して来た。

取り扱い分野

主な 職歴・実績

  • 上場及び非上場 の日本企業のオーストラリアへの投資のストラクチャー構築及び税務アドバイス

  • シドニー、ブリスベン及びメルボルンの主要商業ビル及び工業用不動産の取得に関する、上場および非上場日本企業に対する法務、金融機関との交渉を含む不動産の担保権の設定、売り手及び買い手の代理

  •  日本の上場及び非上場企業のオーストラリア国内企業買収及び事業資産の売買に関する法務

  • 無担保シンジケートローン、ソブリンリスクローン、有担保ローンなど、貸し手及び借り手に対する様々な金融取引に関する法務

  •  オーストラリアの各州および準州の土地所有権制度および担保権に関する、日本の金融機関および調査機関に対する包括的なレポート及びアドバイスの提供

  • オーストラリアから撤退する企業に対し、コストを最小限に抑えるための出口戦略の構築、支援

  • チャンピオンシップ・ゴルフコース開発のための資金調達、土地取得、メンバーシップ構築、財務関連アドバイス


学歴

  • Bachelor of Laws, University of New South Wales

  • Bachelor of Jurisprudence, University of New South Wales


メンバーシップ

  • The Law Society of NSW

  • Japanese Society of Sydney Inc

  • Japan Club of Sydney

取り扱い分野


資格

  • Lawyer, Supreme Court of NSW


言語

  • English

  • Japanese

コラム

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当事務所関連

The Japan Times highlights H & H Lawyers for fostering stronger economic ties between Australia and Japan

Thank you The Japan Times for featuring our firm’s role in fostering stronger economic ties between Australia and Japan. This follows recent coverage of our firm in Korea’s Legal Times. With the Australian Government's announcement of the Future Made in Australia economic plan, we believe we are strategically well-positioned to serve as a bridge between Australia and the broader Asia-Pacific region. A strong and prosperous Australia is only possible through robust, mutually beneficial relationships with our Asian neighbours, and we are committed to strengthening these partnerships. We are seeing growing interest in Australia as a secure and forward-looking investment destination, particularly from Japan. Our bilingual Japan Desk team led by Yukio Hayashi and Tin-Lok Shea is well-equipped to provide comprehensive legal support, including corporate M&A, regulatory, compliance, dispute resolution, commercial contracts, employment, immigration, and foreign investment. We look forward to supporting both our existing and new clients in navigating the opportunities ahead in Australia. You can read the articlehere.

17 Feb 2025


相続・遺言書

家族法―オーストラリアで婚約破棄 - 婚約指輪は返す義務があるのか?

Q:彼の浮気が原因で婚約を破棄する事にしました。元婚約者からは「婚約指輪を返せ」と言われています。返さなければいけませんか? A:婚約を破棄するという行為は「結婚する約束」を破る事になりますが、オーストラリアではMarriage Actにより、婚約破棄に起因する社会的・経済的損失に関連する損害賠償を請求する事は出来ません。ただし、これには婚約指輪等、結婚を前提とした贈り物は含まれません。婚約指輪を返す必要があるかは、その状況によります。まず、婚約はしたが同居していないカップル、またはDe factoとしての要件を満たしていないカップルの場合には、一般論として次のような原則が適用されます。①結婚を前提に指輪を贈られた女性が、贈られた条件の履行を拒否した場合、指輪を返還しなければならない。②男性が結婚の約束の履行を拒否した場合、法的な正当性がなければ、指輪の返還を要求することはできない。③婚約が双方の合意によって解消された場合、合意がない限り、婚約指輪など結婚を前提とした贈り物は、それぞれ相手に返還しなければならない。④男性側に暴力や浮気などの行為があった場合、女性は結婚の約束を拒否する「法的正当性」を主張することができ、婚約指輪などを返さなくても良い可能性がある。 次に、De factoの関係にあったカップルが婚約を解消し別れた場合には、婚約指輪等の返還はFamily Law Actの適用を受け、婚姻財産として分配対象の一部となります。つまり、誰が婚約指輪を所有できるか判断するには、次の要素が考慮されます。①婚約指輪の価値及び全婚姻財産の価値;②同居年数;③婚姻財産構築に関するお互いの金銭的・非金銭的な貢献度;④別れた後のお互いの将来的/経済的なニーズ。婚姻財産分配における指輪の価値は購入価格ではなく一般的にそれより低い市場価格になります。従い、婚約指輪がよほど高価なものでない限り、それは、お互いの個人的所有物として、分配対象の婚姻財産から外される場合が多くあります。 また、婚約のお祝いとして、元婚約者の親からプレゼントされた指輪は結婚を条件とした「Conditional Gift」であり、婚約解消に伴い、その返還を求められる事は十分考えられ、返還しなければならない可能性があります。 よって、相談者からはより詳しい背景を聞く必要があります。

23 Feb 2024


相続・遺言書

オーストラリアで離婚・財産分与 ― 親からの資金援助、個人保証の扱いは?

Q: オーストラリアで結婚して11年になります。現在、妻と離婚を前提とした婚姻財産の分配について話し合いをしています。結婚して2年後に、現在住んでいるアパートを購入する際、妻の父より20万ドル近く購入資金の援助を受けました。今になって義父がその元本及び利子の支払いを請求して来ました。3年前に義父の会社が資金難に陥った時、銀行からの借り入れの担保のため、私は義父と連帯して個人保証人になりました。その保証で今回の20万ドルを帳消しに出来ないでしょうか?また、離婚が決まっている今、妻一家とは今後一切かかわりを持ちたくないので、個人保証は取り消してもらう事は可能ですか? A:  お義父様は9年前に行った約20万ドルの資金援助は、貸付金であったと主張されているのだと思います。その主張の根拠となる証拠、例えば契約書や合意書、場合によっては貸付を裏付ける手紙やメールのやり取りはありますか?ある場合には、その内容を確認する必要があります。そのような証拠がない場合には、相談者はどのような意図でその援助を受けたのかが重要になります。 もし資金援助がお義父様からの贈与であった場合には、返済する義務はありませんが、資金援助が贈与であったという事を立証しなければなりません。例えば、その当時のお義父様とのやり取りにおいて、「この資金は返す必要はないから、自由に使ってくれ」等といったものが残っていれば、贈与を立証する上で有利です。他方、あなたからお義父様に対し、「資金援助有難うございました。将来必ずお返しします」等というようなやり取りがあれば、資金援助は貸付金であったという色彩が強くなります。また、資金援助を受けてから今まで金利など一切お義父様に支払っておらず、また、お義父様から何ら金利払いや元本返済の催促がなかったとすれば、資金援助は贈与であった可能性が高くなります。従い、お義父様からの資金援助が貸付または贈与であったかは、それら証拠となる事実関係を吟味する必要があります。 個人保証の問題は資金援助とは別々に考えるべきです。相談者が個人保証をしている相手は銀行なので、たとえお義父様が帳消しにするといったところで、あなたの保証人としての銀行に対する責任は消えません。個人保証から解除されるためには、その個人保証書を確認する必要がありますが、銀行が扱う一般的なものであれば、おそらく銀行の同意なく個人保証を外すことは出来ないと思います。通常、銀行は個人保証を外しても、十分な貸付金に対する担保が存在しない限り、同意しないでしょう。従い、銀行に事情を説明し、個人保証解除の打診をする事をお勧めします。

11 Jan 2024


紛争解決・訴訟

オーストラリアの労働法 従業員の過失・賠償責任

Q: 私は市内の有名レストランでウェイターをしています。昨日、お客様がオーダーしたワインのボトルを誤って割ってしまいました。それを見た店のソムリエが私の胸ぐらをつかみ、「お前、このワインいくらだと思ってるんだ?弁償しろ、弁償しないならばクビだ!」といわれました。ワインは年代物の、ペンフォールズのグランジというワインで、店では$2,500で出しているものです。私は店に$2,500払わなければいけないのでしょうか?また、胸ぐらをつかまれた拍子に床に落ちた私のメガネをそのソムリエが踏みつけて破損させてしまいました。恐らく修理はもう出来ないので、買い替える必要があります。 A: Employee Liability Act(NSW)という法律の第3条等により、従業員の過失で雇用主が被った損失を、従業員に弁償させるのは原則的に違法です。但し、これには例外もあり、Employee Liability Actの第5(a)項では、「そうしたmisconductがserious and wilful (重大で意図的)なものであった場合」には従業員に対し損失補填・損害賠償請求をすることが可能となります。しかし雇用主がこの例外の恩恵を受けるためには、「その従業員は、損失が生じることを知りつつ自主的にその行為をおこなった」という事を立証しなければなりません。よって、現実的にはこの立証の義務があるため 、例外の適用は難しいです。本件に関して言えば、「誤ってワインボトルを割ってしまった」のであれば、意図的な要素がないため、弁償する義務はありません。では雇用主として、何もできないかというとそうでもありません。もし明らかに従業員の不注意によりそのような損害を被ったのであれば、それは従業員のmisconductとして、warning letterの発行や、場合によっては減給の対象になりえます。(ただし、合法的な減給には雇用契約上の権限が必要なので注意が必要。)また、ワインボトルを割ったことを理由にあなたを即時解雇するのは不当解雇に当たる可能性があります。仮に「そのワインは大変高価であり、取り扱いについては十分注意し、破損させるようなことがあれば、損害賠償をしてもらい、かつ、即解雇する」等と事前に伝えられていた場合には、即時の解雇は有効になる可能性があります。しかしながら、上述の第3条により、損害賠償を求める契約条項は無効です。 一方、あなたのメガネの破損は、従業員であるソムリエの業務中の不法行為により行われたものであると考えられますので、店に賠償を求めることが出来ます。店としては、上述の例外事項にしたがって、ソムリエの重大で意図的な行為による破損として、あなたの請求する賠償額を損害賠償としてソムリエに損害賠償を求める事が出来るでしょう。

27 Nov 2023


不動産法

オーストラリアにおける不動産の所有形態 ― 不動産の共同名義について

Q:夫と共同名義でVaucluseにある5ベッドルーム、5バスルームの2階建てプール付き、海の見える一軒家(購入価格26ミリオン)を購入しようと考えています。不動産の共同名義には2種類あるので、1つ選ばないといけないという話を聞きました。どういう種類があるのか、またその違いを教えて下さい。突然100億円近いお金を相続したもので、色々な事に対して知識がありません。先生、これからも色々相談にのってください。 A:不動産を2人あるいはそれ以上で所有する場合、その共同の所有権の持ち方には、「Joint Tenancy(合有不動産権)」あるいは「Tenancy in Common(共有不動産権)」があります。 Tenancy in Commonは、その持分を、例えば「太郎40%:花子60%」などのように明記した登記ができます。それぞれの所有者はその比率に従ってその物件の権利を有することになります。また、理論上、それぞれの共同所有者は手続きを踏むことによりその持分を別々に他者に売却することもできます。つまりTenancy in Commonにおける共同所有者は、その持ち分比率に応じ独立した権利をその不動産に対し有するという事です。例えば、Tenancy in Commonの所有者が他界された場合、その方の持ち分だけが相続の対象となります。これは日本にもある所有権形態です。 それに対してJoint Tenancyは、日本の方にとって恐らくなじみの薄い所有権形態だと思われます。Joint Tenancyにおいては、共同所有者一人一人につき持ち分比率が特定されていません。従い、Tenancy in Commonとは違い、共同名義人はその不動産に対し独立した権利は有しません。つまり「自分の持分だけを他者に譲渡・売却する」ということはできません。その代わりJoint Tenancyにおいては、 “Survivorship(生存者財産権)” という権利が存在します。例えば、その所有者のうちの一人が死亡した場合、その方の所有権を、他の所有者が自動的に引き継げる事になります。つまりそのような場合、譲渡・相続のような手続きを取ることなく、死亡した所有者の所有権が消滅し、自動的に生存している名義人の所有になるという事です。Joint Tenancyは主に夫婦間で不動産を購入する場合によく用いられる所有形態です。土地登記所での名義変更は必要になります。この点、他界された方の死亡証明書と共に簡単な書類を登記所に提出する事で、名義変更は可能となります。 ご家庭の状況によっては、Joint Tenancyを望まないケースもあると思います。例えば再婚で、自分が死亡した際には前の配偶者との間の子にも不動産の一部を相続させたいような場合です。こうしたケースにおいては、Tenancy in Commonでの所有とした上で、適切な形で遺言書を作成することが望ましいです。

28 Sep 2023


家族法

オーストラリアの家庭法 ― 子供の親権について

Q: 現在、夫と離婚協議中です。婚姻財産の分配についてはある程度話が付いていますが、14歳長男、8歳次男、4歳長女の養育についてもめています。 子供たちは私と一緒に住んで、合意した時間帯に夫に会わせるのが良いと思っているのですが、長男は頑として父親と住みたいと言っています。長男に影響されてか、次男も父親と住みたいと言いだし、長女は「お兄ちゃんたちと一緒に住みたい」と言っています。フルタイムで仕事をしている夫がちゃんと子供たちの面倒を見られるわけがないと思っていますが、夫は実家の協力があれば出来ると言っています。もしこの点が合意できず、裁判となってしまった場合、子供たちの意見は重要となるのでしょうか? A:離婚後の子供の養育(誰と住むかも含む)に関しては、オーストラリアのFamily Law Courtは、「何が子供にとって一番良いのか」を基準に、あらゆる状況・事実関係を考慮し、判断します。その中で、子供自身の要望も重要事項として考慮されます。裁判所はその子供の要望の妥当性を判断する上で、その子の成熟度、感情的及び知的能力、その要望の理由、各親との関係等を考慮します。片方の親が必要に応じ養育について、子供の意見を考慮するよう裁判所にリクエストする事は出来ます。その場合、通常、法廷の様な圧迫感のある環境で直接意見を述べさせるのではなく、裁判所はカウンセラーや、サイコロジストの様な第三者を任命し、子供の意見に関するレポートを提出させるという形がとられます。一般的には14歳の長男の要望は重要視されると思いますが、4歳の長女の要望については、あまり重視されないでしょう。8歳の次男については、ボーダーラインだと思います。ただし子供たちの意見の重要性は本人の年齢ではなく、実際の成熟度に委ねられます。最近裁判所は年少の子供達の意見も取り入れる傾向にあります。子供たちの意見の中で特に重要視されるのは、子供たちがなぜ父親と一緒に住みたいかという点です。長期的に安定した子供たちにとって最も良い養育環境を考えた場合、次男と長女の父親と住みたいという理由が「お兄ちゃんと一緒にいたい」というのであれば、あまり重要視されないでしょう。他方、長男の父親と一緒に住みたいという理由が、例えば「お母さんは精神的に不安定で、しょっちゅう子供たちに八つ当たりする」や、「全然弟と妹の面倒をみてくれず、食事もまともに作ってくれない」等であれば、かなり重要視されるでしょう。ただし、裁判所は子供たちの意見だけを取り入れるという事ではありません。責任者になろうという親が、子供達のニーズに応えられる能力(時間、経済力、環境等)があるのかも含め、長期的に安定した子供にとって最も良い環境で養育できるかが総合的に判断されます。

29 Aug 2023