Q: 先日二重まぶたにするための美容整形手術をしました。ところが手術の後、右目のまぶたが化膿して、顔が腫れ上がってしまいました。そのため会社を当初の予定より3日も多く休む事になり、合計6日間の疾病休暇を会社に申請しましたが、認められないと言われ、休んだ日全てを有給休暇扱いにされてしまいました。どうも納得いかないので、何度も上司に掛け合ったのですが、全く取り合ってもらえません。今日はそのためのストレスで会社を休みました。会社の判断は正しいんでしょうか? (29歳 会社員)
A: ご承知のようにフルタイムの従業員は、1年ごとに10日分の有給疾病休暇を取得することが可能です。(ちなみに、パートタイムの従業員はPro-rata、即ち1年毎に、[10日×その従業員の毎週の労働時間÷38時間]の有給疾病休暇取得の権利があります。)
雇用法(Fair Work Act)の97条では、「従業員が、自身の病気あるいは怪我によって、仕事ができない状態である場合には、有給疾病休暇を取ることができる」と記されています。という事は、もし質問者がされた手術の目的が美容ということであれば、それは「病気」や「怪我」の治療ではないため、そのために取った休暇は、疾病休暇とは言えません。
手術後、右まぶたが化膿したために取らざるを得なかった休暇は、疾病休暇として扱われるべきです。同法の107条では、「雇用者からの求めがあれば、従業員は、『病気あるいは怪我によって仕事ができない状態である』ということを証明する妥当な証拠を提出しなければいけない」と定められています。一般的には、医師の診断書、証明書などがこうした“妥当な証拠”となります。従い、今回のケースの場合、まずは医師から、まぶたが化膿してしまったために取らざるを得なかった3日間の休みに関する証明書をもらい、会社に掛け合うことをお勧めします。
なお、ストレスで会社を休んだ場合、ストレス自体は病気或いは怪我とは認められませんので、それを理由に疾病休暇を取ることは出来ません。しかし、もしも「ストレスを原因として精神疾患を発症し、その結果、仕事ができない状態になった」ということであれば話は別です。そのような医師の診断書を取得することができれば、疾病休暇の取得が可能になるでしょう。
また、よく聞く歯の定期検査も、「病気や怪我によって仕事ができない状態である」とは言えないので、上記の美容整形手術の場合と同様に、疾病休暇の対象にはなりません。但し、仕事ができないほどに歯痛がひどく、且つ、医師から「この患者は仕事ができない状態です」と記された診断書を取得することができれば、疾病休暇の取得はできるものと思います。