Q: 現在、私は12歳の娘(前夫との間の子) と内縁関係の夫と3人で暮らしています。
最近になって、夫は、「娘のしつけがなっていない」と度々娘を厳しく叱ったり、怒鳴ったりするようになりました。彼の態度に私も娘も怯えきっています。確かに娘の態度にも悪いところがありますが、夫の言動は常軌を逸しているように思えます。状況がエスカレートするのは時間の問題で、夫はいずれ娘に手を挙げるのではないかと心配しています。どうすればいいでしょうか?
A: こうした夫の常軌を逸した「しつけ」はもはや「しつけ」ではなく、虐待に相当しうると考えます。たとえ実際に暴力を振るわれていなくても、いわゆる「言葉の暴力」も十分虐待にあたるからです。もしも娘さんだけではなく、夫が相談者に対しても同じような振る舞いをするようであれば、それは夫によるDVに値します。NSW州においては、1998年に施行された「Children and Young Persons Act」という法律により、子供を虐待から守るため、「Department of Family and Community Services」(以下FACS)に様々な権限が与えられています。相談者又は娘さんは、直接FACSに助けを求める事が出来ます。FACSにはHelpline(Child Protection Helpline―132 111)が設けられていて、容易に電話相談ができるようになっています。また、子供の虐待が疑われる場合には、家族の一員でなくてもFACSに通報することができます。FACSへの通報は、後に名誉棄損などの問題にさらされる心配が無いよう、全て極秘扱いされます。尚、子供と接触がある教師、医者、社会福祉サービスの職員などは、子供の虐待が疑われる場合、FACSへ速やかに報告する義務があります。無論、緊急を要する状況においてはDVとして警察に助けを求めることも可能です。
相談があった場合、FACSは必要な調査を行い、その結果、状況に応じ子供にとって最も適切な対応策(例えば、子供を含む当事者へのカウンセリングやサポートグループの手配など)を講じる事になります。事態がより深刻だと判断されれば、FACSにより子供が保護され、一時親元から離される場合もあります。もし調査の結果、刑事事件に発展する可能性が高いと判断されれば、FACSは警察の介入を必要とします。
ご承知のように、特に最近日本においても「子どもの虐待」に関するニュースが頻繁に報道され、大きな社会現象となっているようです。オーストラリアも例外ではありません。