Q:レストランを経営しています。店のプロモーションをかねて、お店に来てくれたお客さんたち一人一人に名前と連絡先を紙に書いてもらって、箱に入れ、毎月一回の抽選に当たった人に、当店の100ドル分のギフト券を進呈するという企画をしています。一口につき、1ドルを予定しています。ところが、知人から「そうした宝くじは違法だ」と指摘されました。
A:いわゆる「宝くじ」のような、参加者らの中から抽選によって商品・賞金が贈られるといった催しは、原則的に各州の法律により禁じられています(例えば、LOTTERIES AND ART UNIONS ACT 1901 の第3条)。しかし、そうした宝くじが例外的に合法となる場合も多く存在します。例えば、“NSW Lotto”のように、国から正式に許可を受けて運営されている宝くじはもちろん合法です。また、非営利組織が、チャリティ目的で開催するような宝くじやビンゴゲームも合法となる場合がありますが(同法第4条)、その開催規模と賞品・賞金額には制限が設けられています。なお、今回の件とは直接的な関係はありませんが、災害の支援等のために募金を募る場合、その募金額が1万5千ドルを超えるような場合には、NSW Fair Tradingに登録する義務があり、色々な条件が課されますので、注意が必要です。ちなみに募金額が年に25万ドル以上の場合には、監査法人による正式な監査が必要となります。
営利目的であったとしても、くじ引きそれ自体から利益を得るのではなく、今回の相談者のようにビジネスプロモーションを目的としたくじ引き(同法第4B条)であれば、州政府(NSW Fair Trading)からライセンスを取得することで合法的に開催することができます(同法第 4B(3)(a)条)。ライセンスの取得はオンラインで比較的簡単にできますが、申請時に、賞金額や賞品数、商品の種類、くじの開催期間、くじの種類、当選者の発表日時や発表の方法等々、多くの事柄につき通知することになります。また、これらの事柄については、くじの参加者たちにも十分知らせておくことが求められますので、ポスターやチラシ等を用意する必要もあると思います。
ここで注意したいのは、こうしたプロモーションのためのくじ引きのエントリーは無料でなければならない(同法第S 4B(3)(c)条)ということです。したがい、今回のように「一口1ドル」という形で参加者にくじの購入を求めることはできません。但し、特定の商品を購入することをくじ引きのエントリー条件とすることには問題はありませんので、今回の相談者のケースでしたら、例えば、「デザートを一品注文すること」をエントリー条件としてはいかがでしょうか。