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従業員の過労・労災

林由紀夫, 上田大介    28 May 2021

Q: 主人は現地の大手日系企業でシニアマネージャーをしています。この数か月間、週のうち4日間は夜10時頃まで残業させられ、精神的に相当参っているようです。食欲もなく夜もなかなか寝付かれずにいます。ここ数日、家にいる時にはとても無口でぼうっとしている事が多くなりました。今朝、「仕事を休んで医者に行ったらどう?」と勧めてみたところ、大声でヒステリックに「忙しいのにそんなことできるわけがないだろう!」と怒鳴られました。主人のことが心配です。こんな場合、誰に相談すれば良いでしょうか?

 

A: 私は医者ではありませんが、おそらくご主人は過労のため鬱状態にあるように思われます。大手企業の場合にはHR(Human Resources)の担当者がいるはずです。まずはその担当者に相談するのが良いのですが、とかくご主人のようなエリート社員の場合、特に日系企業においては、精神的な不調を公にするのがはばかれる風潮があるようですから、そう簡単にはいかないかもしれません。しかし取り返しのつかない事態になる恐れもあるので、迅速な対応は必要だとおもいます。まずはご本人に「今の自分は正常ではない」という自覚をもたせ医者の診断を仰ぐのが重要かもしれません。 また、ご主人の会社のCompany Policy(会社の方針)の中に必ずこのような状況の対応の仕方が書かれているはずですので、一読すると良いと思います。会社のHRはこのようなケースに慎重に対応するようトレーニングもされているはずです。

また、今のご主人の状態が過労によるものであると明確に診断されれば、法的にも色々な対応が可能となって来ます。雇用者は基本的に法律により職場の安全を確保する義務を負っています。例えば、過酷な残業をさせ続けた結果、従業員が鬱病を発症し労災の認定を受けるような事態になってしまうと、通常SafeWork NSWの調査が入り、告発され多額の罰金刑に処せられる場合があります。以前日本の大手広告代理店であったような、従業員が過労により自殺するような事態がNSWで起きた場合、責任者の禁固刑も十分考えられます。雇用者は、職場の安全を維持確保するために充分な対策を講じる義務を負っています。なお、会社は労働災害を被った従業員を差別したり、解雇することは法律によって禁じられています。

被雇用者も同じく職場において自分自身の健康と安全を維持する義務を負っていますので、問題が生じた場合、会社のCompany Policyに従ってHR等へのタイムリーな相談は欠かせません。

 

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豪州子会社および外国法人に対する現代奴隷制報告義務

豪州子会社および外国法人に対する現代奴隷制報告義務 年度の折り返しを迎え、多国籍企業のオーストラリア子会社やオーストラリアで事業を行う一部の外国法人にとっては、現代奴隷報告書(Modern Slavery Statement)の作成準備を進める時期となりました。本記事では、外国資本グループが見落としがちな「連結収益」の考え方を中心に、オーストラリアにおける現代奴隷報告義務の概要と最新の規制動向について解説します。   報告義務の概要オーストラリア連邦法の現代奴隷法(Modern Slavery Act 2018 (Cth)、以下「本法」)は、売上高基準を満たす法人に対し、年次の現代奴隷報告書の提出を義務付けています。 報告書は、その報告対象法人の会計年度末から6か月以内に提出しなければなりません。   報告義務の対象企業本法の適用対象は以下のとおりです。•    オーストラリア法人:年間連結収益が1億豪ドル以上の法人•    オーストラリアで事業を営む外国法人(例:海外企業のオーストラリア支店):年間連結収益が1億豪ドル以上の法人本法における連結収益は、オーストラリア会計基準に従って算定されます。したがって、単一の法人のみならず、より広範な企業グループ全体を考慮する必要が生じる場合があります。   1. 億豪ドル基準:連結収益の考え方報告義務の判定基準は、オーストラリア子会社単体の売上高ではなく、企業グループ全体の連結収益です。この点は実務上見落とされることが少なくありません。すなわち、オーストラリアに事業拠点および/または子会社を有する企業は、親会社および子会社の双方において当該基準を充足するか否かを検討する必要があります。たとえば、以下のようなケースが考えられます。•    オーストラリア子会社の現地売上高が3,000万豪ドルであっても、当該子会社とは別に(例えばオーストラリア支店等を通じて)オーストラリア国内で事業を営んでおり、かつ当該外国企業の売上高(オーストラリア子会社分を除く)が8,000万豪ドルに達している場合は、連結売上が1億豪ドルを超過することになり、報告義務を負う可能性があります。•    現地売上高が3,000万豪ドルのオーストラリア子会社であっても、その傘下に外国法人があり、当該外国法人の海外売上高が8,000万豪ドルに達する場合には、連結売上が1億豪ドルを超過することになり、報告義務が生じる可能性があります。このような仕組みにより、アジア太平洋、欧州、北米の親会社の下で大規模なグローバル事業を展開するオーストラリア法人や支店の多くが、想定外に報告義務の対象となるケースが見受けられます。   必須記載事項各報告書には、以下の7つの必須項目を記載する必要があります。1.    報告対象法人の概要2.    組織構造、事業内容およびサプライチェーン3.    事業およびサプライチェーンにおける現代奴隷制リスク4.    当該リスクの評価・対処のために講じた措置(デューデリジェンスおよび是正プロセスを含む)5.    講じた措置の有効性分析6.    所有又は支配する関連法人との協議プロセス7.    その他の関連情報   公開登録簿すべての現代奴隷報告書は、司法長官府(Attorney-General’s Department)が管理する公開登録簿(www.modernslaveryregister.gov.au)上で公開されます。 そのため、報告書の未提出や不十分な開示は、企業のレピュテーションに直接的な影響を及ぼし得ます。さらに、報告義務を履行しない法人に対しては、本法に基づき、内務大臣が説明および是正措置を求める権限を有しています。 この要請に従わない場合、内務大臣は当該法人名およびその詳細を公開登録簿上で公表することができ、企業イメージの毀損につながるおそれがあります。   執行の動向と罰則導入に向けた動き現時点では罰則が存在しないことが、一種の安心感につながっています。しかし、この状況は近く変わる可能性があります。 「マクミラン・レビュー」とは2023年5月、オーストラリアン・ナショナル大学のジョン・マクミラン教授は、本法施行後3年間を対象とする包括的なレビューを行いました。同レビューは、本法の実効性について厳しい評価を示し、「現代奴隷制の状況下に置かれている人々に対し、依然として有意義な変化をもたらしていない」と指摘するとともに、現代奴隷報告書の多くについても「不十分である」と評価しました。同レビューでは、本法を強化するための30項目の勧告が示され、その中でも民事罰の導入が中核的な改革案として位置付けられました。 具体的には、以下の行為に対する罰則導入が提言されています。•    現代奴隷報告書の未提出•    報告書において虚偽または誤解を招く情報を故意に提供すること•    内務大臣による是正要請の不遵守同レビューでは罰則の具体的な金額には言及されませんでしたが、類似制度における罰則額として、カナダの25万カナダドルから、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州の旧制度における110万豪ドルといったデータが参照されています。また、同レビューでは、報告義務の対象基準を年間連結収益1億豪ドルから5,000万豪ドルに引き下げることも提案されており、実現した場合には、報告義務の対象となる法人が大幅に拡大することになります。 現時点では政府はこの提案を採用していませんが、連結収益が1億豪ドルに近い法人については、今後の動向を注視すべきです。   政府の対応2024年12月、オーストラリア政府は同レビューに対する公式回答を公表しました。特に重要な点として、政府は不遵守に対する民事罰の導入について「原則として同意」し、罰則制度の設計に関して関係者との協議を行う方針を示しています。また、2024年12月2日にクリス・エヴァンス氏がオーストラリア初の反奴隷制コミッショナー(Anti-Slaveryに就任し、コンプライアンスの向上、企業支援、および報告法人向けガイダンスの更新に取り組んでいます。同コミッショナーには、是正要請に応じない法人の公表や、高リスクと判断される産業・地域・製品の指定を行う権限が付与される見通しです。具体的な施行時期は公表されていないものの、規制強化の方向性は明確であり、民事罰の導入は現実的な政策課題となっています。また、反奴隷制コミッショナーは既に活動を開始しており、是正要請不遵守の法人リストを公表する可能性があります。さらに、報告基準を満たしながら一度も報告を行っていない法人は、複数の報告年度にわたり継続的なリスクに直面する可能性があります。また、現代奴隷制への取組状況について実態と異なる開示を行った場合には、オーストラリア消費者法(Australian Consumer Law)第18条に基づく誤認惹起的行為(いわゆる「ブルーウォッシング」)が問題となる可能性もあります。義務を引き続き履行しない法人は、不遵守の公的記録が恒久的に残るリスクがあるほか、罰則制度の施行後は制裁の対象となる可能性があります。   コンプライアンスに向けた実務対応多国籍企業のオーストラリア子会社および支店は、以下の対応を行うことが推奨されます。1.    義務の早期確認:連結収益が1億豪ドルを超えているか否かを確認する。2.    報告主体の特定:オーストラリア子会社と親会社のいずれが報告を行うかを判断する。3.    共同報告書の検討:親会社およびその1社以上のオーストラリア子会社は、本法に基づく協議要件を満たすことを条件として、共同報告書を提出することができる。4.    サプライチェーンの把握:事業活動および調達における現代奴隷制リスクを特定する。5.    デューデリジェンスプロセスの文書化:リスク評価および是正措置の実施を裏付ける証拠を整理する。6.    開示対応の準備:公開登録簿に掲載された後も、公衆および規制当局の精査に適切に対応できる現代奴隷報告書を作成する。   現代奴隷制コンプライアンスに関する法的支援現代奴隷制報告は、単なる形式的な手続きではありません。報告書は恒久的な公的記録として残ります。上記のとおり制度改革が現実味を帯びる中、不十分な開示はレピュテーションリスク、規制上のリスク、さらには契約および消費者法上のリスクを伴います。特に、売上高の連結判断、サプライチェーンリスク、またはクロスボーダーのグループ構造に関する課題を有する報告対象法人は、報告書の提出前に専門家の助言を受けることをお勧めします。H & H Lawyers は、多国籍企業ならびにそのオーストラリア子会社・外国支店に対し、現代奴隷制コンプライアンスに関して以下を含む支援を提供しております。•    売上高基準の評価および報告義務の判定 •    現代奴隷報告書の作成、レビューおよび提出 •    複数法域にわたるサプライチェーンリスク評価•    デューデリジェンス、プロセス設計および社内文書の整備•    バイリンガル対応による海外親会社およびグループ法人との連携•    過去の不遵守に対する是正措置多国籍企業の多くは、連結収益を適切に分析した段階で初めて、オーストラリア子会社に報告義務が生じていることが明らかになります。多国籍企業のオーストラリア子会社および支店においては、罰則制度が導入される前に、自社が報告義務の対象となるかを確認し、必要なコンプライアンス体制を整備することが重要です。特に、連結収益の判定やサプライチェーンの把握に不確実性がある場合には、早期に法的アドバイスを得ることをお勧めします。そのための対応コストは、不遵守によるレピュテーションリスク、規制対応コストおよび事業上の影響と比較すれば限定的であることが少なくありません。現代奴隷報告義務に関するご相談は、H & H Lawyersまでお気軽にお問い合わせください。   免責事項: 本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、法的助言を構成するものではありません。本記事の内容は2026年5月時点の情報に基づいていますが、法令および規制は随時改正される可能性があります。現代奴隷報告義務は個別の事実関係により異なるため、本記事に依拠して行動する前に、必ず専門的な法的助言をお求めください。 Professional Standards Legislationに基づき認可されたスキームにより、法令で認められる範囲において責任は制限されています。  


雇用か請負か?今こそ「シャム・コントラクト(偽装請負)」の見直しを

ここ数年、従業員として雇うべき人にABNを取らせ、コントラクター契約で働かせるというケースが問題になっています。   一見するとコスト削減のように見えても、実態が雇用関係に近い場合は「偽装請負(Sham Contract)」とみなされ、Fair WorkやATO(税務当局)からの調査・制裁対象となります。   見直しが必要な理由 • 2024年8月26日施行の法改正で「雇用」の定義が変更され、契約書の文言よりも実際の働き方(実態)で従業員かコントラクターかが判断されるようになりました。 • 2025年1月から「意図的な賃金不払い」が刑事罰の対象になりました。 • 誤った契約形態が発覚すると、未払い賃金・Superの遡及支払いに加え、高額の罰金(個人$19,800/小規模事業$99,000/15名超事業$495,000)が科されるおそれがあり、経営上のリスクが一段と高まっています。   雇用と請負の基本的な違い 従業員と独立請負人の本質的な違いは次のとおりです。 • 従業員:貴社の事業に従事し、貴社の一員として業務を遂行します。 • コントラクター:貴社にサービスを提供しますが、自己の事業の発展のために業務を遂行します。 以下の表に照らし合わせ、自身の勤務体系がコントラクターではないと思う方はFair Workに調査を依頼すべきです。   判断要素 従業員 コントラクター 指揮命令(Control) 事業主が仕事の進め方・時間・場所を指示できる。 自分で方法、場所、 時間を決める。 業務の一体性 事業主の業務の一部として働く。 自分の事業のために業務を行う。 報酬形態 時給・日給・出来高・作業単価・コミッション 成果や契約単位で成果完了時に支払われる。(定額報酬が多い。) 再委任・代行の可否 労働者本人が業務を遂行し、他者に代行させることはできない。 契約に再委託・代行を認める条項がある。 機具・工具の提供 事業主が業務に必要な機具・工具全部または大部分を提供する、(労働者が大半を用意しても、事業主が手当や実費償還を行う。) 労働者が必要な機器・工具全部または大部分を自ら提供する。 リスク負担 労働者のリスクは低いか皆無・事業主が商業上のリスク(傷害や瑕疵に伴う費用)を負う。 労働者が商業上のリスクを負う。 営業上の信用(Goodwill) 労働者の業務から生じる信用・のれんは事業主に帰属する。 信用・のれんは労働者側の事業に帰属する。     一部の独立請負人にも生じ得るスーパー支払義務 一定の状況では、コントラクターであっても、年金(superannuation)の規定上従業員とみなされ、貴社にスーパー(Superannuation)の支払義務が生じます。例えば、労働者が次のいずれかに該当する場合です。 • 契約が全面的または主として労務の提供を目的としている。(例:現場作業員・ドライバー・介護スタッフなど)では、ABNを持っていてもSuper支払い義務が発生することがあります。) • 家事的性質の業務を週30時間超行っている。 • スポーツ選手・芸術家・エンターテイナーで、音楽、演劇、舞踊、エンタメ、スポーツ、展示、販促その他類似の活動の出演・実演・参加の対価として報酬が支払われる。 • 上記の活動への出演・実演・参加に関連するサービスの提供対価として報酬が支払われる。 • 映画・テープ・ディスク・テレビ/ラジオ放送の制作に関連するサービスの提供対価として報酬が支払われる。  経営者が負うリスク • ATOペナルティ:PAYG未納・Super未払い・利息・事務手数料 • Super Guarantee Charge(SGC):不足額+利息+手数料に加え、最大200%の追加罰金 • Fair Work違反:偽装請負(Sham Contract)で1件あたり最大$495,000の民事罰 • 刑事罰(2025年1月〜):意図的な賃金不払い    経営者がすべきこと 1. 全従業者の契約形態を精査する  → 「実態は従業員ではないか?」を確認 2. Super(年金)やPAYGの支払い状況をチェック  → 未払いがあれば早めに是正 3. Fair Work・ATOのガイドラインを参照  → 「Employee or Contractor Decision Tool」で判断可 4. 必要に応じて契約を従業員契約に切替   「コントラクターだから安心」と思っていても、実態が雇用であれば法的責任は免れません。正しい契約形態を維持することは、会社の信頼と持続的経営のための基本です。今一度、自社の契約実務を見直してみてください。  


オーストラリアにおける労働法 — カジュアル従業員の権利

Q:5年ほど前に“カジュアル従業員”として雇われ、月~金、9~17時の出勤で、法律上の最低賃金に25%のカジュアル手当を加えた給料が支払われています。この間、友達から「それって実質的に はパーマネント(フルタイム)従業員なんだから、有給休暇とかの権利があるんじゃない?」という指摘を受けました。私には実質的なフルタイム従業員として、そのような権利があるのでしょうか?     A:正確なアドバイスをするためには事実関係を詳しく分析する必要がありますが、原則的に、カジュアル従業員としての雇用契約書を提示され、合意し、基本時給に25%増しのカジュアル手当が支払われているのであれば、フルタイム従業員と同じ勤務時間で働いていたとしても、それはカジュアル雇用だと考えられます。 しかし、だからといってフルタイム従業員の持つ権利をカジュアル従業員は全く持たないというわけではありません。例えば、カジュアル従業員はAnnual LeaveやPersonal Leaveの取得権利こそ有しないものの、Long Service Leaveの取得権利は発生する可能性があります。 また、そのカジュアル雇用が「定期的かつ体系的なものであり、継続的な雇用が妥当に期待できるもの(Regular and systematic basis with reasonable expectation of continuing employment)」である場合には、不当解雇の訴えを起こす権利や、Flexible Work Arrangementを求める権利も生じえます。 現実問題として、今回の相談者のように、カジュアルで長期間に渡りフルタイム従業員のような勤務時間で働いている場合、上記のような権利が生じるかは事実関係に委ねられ、明確にはなっていません。こうした問題を回避すべく、近年、法律の改正があり、多くのカジュアル雇用において( “Small Business” 等の例外もありますが)、定期的に継続するカジュアル雇用が開始してから12か月が経過した従業員に対して、雇用主は、フルタイムまたはパートタイム(パーマネント)雇用への変更をオファーする義務を負うことになりました。あくまでオファーなのであって、従業員として「私はカジュアル雇用を継続したい」というのであれば、断っても問題ありません。この法改正により、少なくとも1年目において、雇用ステータスを明確にし、後に「私は実質的にフルタイム従業員なのでは?」という問題が起きるリスクを軽減させています。   また、今回の相談者のような従業員は、最初の12か月目のパーマネント雇用オファーのタイミングの後であっても、雇用主に対してパーマネント雇用化を求める権利が生じる場合があります。雇用ステータスとその権利を明確にするためにも、まずは雇用主と相談することをお勧めします。


Key changes to Australian employment law

On 6 December 2022, the Fair Work Legislation Amendment (Secure Jobs Better Pay) Act 2022 received Royal Assent, amending the Fair Work Act 2009 (Cth). The key amendments to the Fair Work Act are as follows:   1. Casual Conversion – currently in effect   Casual conversion is allowing casual employees to become employed on a permanent basis.   It is available for an eligible casual employee, being one who:  Has been employed for at least 12 months;  Has worked regular pattern of hours during the last six months of employment; and  Is able to continue working the regular pattern of hours as a full time or part time employee without significant changes.   Employers must offer casual conversion within 21 days of an eligible employee’s 12 month work anniversary.  This is an ongoing obligation, and employers must consider an employee’s eligibility each year to make the offer.  If a casual employee requests casual conversion, employers must respond in writing by accepting or rejecting within 21 days. An employer must have reasonable grounds for rejecting a request, or not making a casual conversion offer.  Employers must also provide casual employees with the ‘Casual Employment Information Statement’ in addition to the Fair Work Information Statement, at the commencement of employment.  2. Pay Secrecy Terms – currently in effect  The Fair Work Act now gives employees the right to disclose their salary information.  It also prohibits employers from entering into a contract (or other written agreement) with an employee which includes a term which prohibits an employee from disclosing their salary or other terms and conditions reasonably necessary to determine an employee’s salary.  Any existing employment agreements which do include a pay secrecy term have no effect, and can no longer be enforced.  3. Prohibiting Workplace Sexual Harassment – effective 6 March 2023  The Fair Work Act will prohibit sexual harassment in connection with work. Employers will potentially be made liable for sexual harassment committed by an employee or agent in connection with work, unless they can prove they took all reasonable steps to prevent the sexual harassment.  4. Flexible Working Arrangements – effective 6 June 2023  The amendments allow pregnant employees and employees experiencing domestic violence to request flexible working arrangements.  In addition to existing obligations on employers to provide reasons for  refusing an employee’s request for flexible working arrangements, employers may only refuse a request for flexible work arrangements if they have:  (a) Discussed the request with the employee;(b) Genuinely tried to reach an agreement with the employee about making changes; (c) Had regard to the consequences of refusal for the employee; and (d) The refusal is on reasonable business grounds.  Employers must also set out the particular business ground that it relies on for refusing the request, and explain how those grounds apply to the request.  The Fair Work Commission will now be able to hear and make orders about disputes regarding flexible workplace arrangement requests.  5. Fixed Term arrangements – effective 6 December 2023  The term of a fixed term employment contract must not exceed 2 years (including extensions).  Fixed term contracts may not be extended more than once. Some fixed term contracts are excluded from this rule, e.g. those relating to casual employees, seasonal labour, specialised skill employment and high-income employees.  From 6 December 2023, employers will need to give ‘Fixed Term Contract Information Statement’ prepared by the Fair Work Ombudsman. This has not yet been made available.   Disclaimer: The contents of this publication are general in nature and do not constitute legal advice. The information may have been obtained from external sources and we do not guarantee the accuracy or currency of the information at the date of publication or in the future. Please obtain legal advice specific to your circumstances before taking any action on matters discussed in this publication.


従業員による精神的不調を理由とした病欠

Q:日頃とてもまじめに忙しく仕事をしている従業員が、今日の昼頃無断で帰宅してしまいました。この従業員は「ストレスでこれ以上働けないので帰宅する。後で医師の診断書を提出する」と同僚に言い残して帰ったそうです。自己の判断でストレス休暇を取って帰宅するのは合法なのでしょうか。 A:ストレス休暇(Stress Leave)という言葉はたまに聞きますが、これは法律上、Sick Leave・Personal Leave(以下「Sick Leave」)の一種と考えられますので、原則的な対応は他のSick Leaveと同様です。精神的不調は、その問題が第三者には分かりにくいため、判断が難しい側面があるものの、本人が「精神的ストレスで仕事が出来ないので今日は早退します」と主張する場合には、雇用主としてそれを拒否する事は出来ません。なぜなら、本人が本当に精神的不調を患っているか否かは医師にしか判断出来ない事だからです。Workplace Health and Safety Lawという法律により、雇用主は、職場において怪我などの物理的なInjuryだけでなく、精神的Injuryも未然に防ぐよう努める義務を負っています。従い、精神的不調を訴えている従業員の早退を妨げるようなことは、Workplace Health and Safety Law違反となるリスクを負う事になります。 雇用主は、医師の診断書等の「Unfit for Work」の証明書の提出を後日求めることはできます。無論、医師が「Unfit for Work」と判断しなかった場合には、これはSick Leaveとは認められなくなりますが、「仕事のストレスで最近ずっと不眠が続き、心身ともに疲れている」等の理由を掲げれば、おそらくGPは証明書を出すだろうと思います。もし、精神的不調が、仕事からくるストレスを原因としている場合には、その従業員は労災を申請する可能性もあります。 精神的不調は一見してわかりにくいため、後日その従業員が職場復帰したとしても、雇用主として「本当に仕事を再開できるのか、また、その精神的不調の原因は何であったか」等を確認する必要があります。場合によっては、専門家(例えばサイコロジスト等)の診察を受けてもらい、仕事を継続するのは問題ないという証明書の提出を求める事も出来ます。従業員が精神的不調でSick Leaveを取るという事は、会社にとっても従業員にとっても、非常に深刻な問題であり、慎重な対応が必要であるという事です。その原因が労働環境にあるような場合には、雇用主としてそれらを妥当な限り改善する義務を負います。そうする事により、従業員にもその深刻さを理解させ、「精神的不調」を理由とする安易なSick Leave取得を抑制する事にもつながります。


ワクチン接種に関する疾病休暇の適用 

Q:COVID-19のワクチン接種をする予定です。あいにく平日しか予約が取れず、勤務時間に影響が出てしまいます。また、接種後仕事ができなくなるほどの副反応が出た人もまわりにいて心配です。ワクチン接種をするにあたり、Sick Leaveの取得は可能なのでしょうか?   A: Sick Leave(疾病休暇)は正確にはPersonal Leaveという有給休暇の一部です。本人の疾病及び近親者の看病などのために法律により年10日間(フルタイム雇用の場合)の有給Personal Leaveが認められています。未消化のPersonal Leaveは翌年に繰り越されます。 自分自身の病気や怪我により、就労不能(Not fit for work)となった場合に、Personal Leaveの取得が認められます。法律上、雇用主は疾病休暇を取った従業員に対し、“Not fit for work”の証明として、医師の診断書等の提出を求めることが出来ます。 ちなみに、法律は病気や怪我の原因には言及していませんので、極論すると飲みすぎでひどい二日酔いになった場合でも、就労不能であれば、Personal Leaveは取得できます。(医師の診断書は必要になるかもしれません。) ワクチン接種のためにPersonal Leaveを取得できるか?との問いについては、ワクチン接種時点でその従業員は「Not fit for work」にあたらないので、原則的に「できない」と考えます。しかしながら、昨今、ワクチン接種は広く奨励されていますので、勤務時間内のワクチン接種による遅刻・外出についての寛大な措置につき、会社と相談すると良いと思います。もし会社がPersonal Leaveを認めなければ、代わりにAnnual Leave等を使うといった対応が必要になるかもしれません。もし、会社がワクチン接種を義務付ている場合は、勤務時間内のワクチン接種は業務の一環であると考えられ、Leaveの取得は必要ありません。 ワクチン接種後、もし「Not fit for work」となるほどにひどい副反応が出れば、問題なくPersonal Leaveを取得することが出来ます。言うまでもなく、副反応で会社を休まなければならなくなった場合、Personal LeaveもAnnual Leaveも残っていなければ、Leave without pay(無給休暇)になります。しかし会社によりワクチン接種が義務づけられている場合は、副反応により会社を2、3日休んだとしても、自身のPersonal Leaveを使う必要はないという考えが十分成り立つと思います。 また、会社がワクチン接種を義務付けているのではなく、単に奨励している場合は、接種日に出勤時間を遅らせる・ワクチン接種のための外出・早退等に関する扱い及び、接種後の副反応によるPersonal Leave取得に関し事前に会社と話し合っておくと良いと思います。