賃金未払いが刑事犯罪に -賃金未払いに関する新しい法律について
• 新法により、2025年1月1日より、賃金の意図的な未払いは刑事犯罪となりました。
• 企業が安心して事業を続けるために、正確な給与計算、定期監査、早期是正の手続きを行う必要があります。
• 当事務所では、未払い防止体制の整備や監査のサポート、是正手続きのご相談に対応しております。
1. 新しい法律の概要
2025年1月1日より、従業員への賃金や手当の「意図的な未払い」は、オーストラリアのFair Work Legislation Amendment (Closing Loopholes) Act 2023に基づく刑事犯罪となりました。
• 単なる計算ミスや事務的な誤りではなく、知りながら支払わない行為が対象となります。
• 違反が認められると、企業や経営者は高額な罰金や懲役刑を受ける可能性があります。
2. 「意図的な未払い」とは
次のような場合が「意図的」と判断される可能性があります。
• 法定最低賃金や残業代を認識していながら支払わない
• 就業規則や契約に定められた義務を故意に無視する
• 監査や指摘を受けても是正せず、未払いを続ける
3. 罰則について
• 個人(経営者・役員等):最長10年の懲役、または最大165万豪ドルの罰金(未払い額の3倍が上限を超える場合はそちらを適用)
• 企業:最大825万豪ドルの罰金、または未払い額の複数倍
4. 企業が取るべき対応(リスク回避のポイント)
1. 給与計算の正確性を確保
o 最新の法律に対応した給与システムを利用
o ダブルチェック体制で計算ミスを防止
2. 定期的な内部監査・専門家レビュー
o 年1回以上のチェックを実施
o 必要に応じて労務専門家や弁護士に相談
3. 未払いが発覚した場合の対応
o 速やかに遡及払いを行い是正する
o 自発的にフェアワーク・オンブズマンへ報告・協力することで、刑事処分を回避できる可能性あり
4. 小規模事業者(従業員15名未満)の場合
o 「自主的小規模事業者賃金コンプライアンス規範」に従い修正すれば、意図的でないことを示せる可能性が高い
5. 従業員・管理職への教育
o 定期研修を実施し、最新の労働法やリスクについて周知徹底