Q: オーストラリアで結婚して11年になります。現在、妻と離婚を前提とした婚姻財産の分配について話し合いをしています。結婚して2年後に、現在住んでいるアパートを購入する際、妻の父より20万ドル近く購入資金の援助を受けました。今になって義父がその元本及び利子の支払いを請求して来ました。3年前に義父の会社が資金難に陥った時、銀行からの借り入れの担保のため、私は義父と連帯して個人保証人になりました。その保証で今回の20万ドルを帳消しに出来ないでしょうか?また、離婚が決まっている今、妻一家とは今後一切かかわりを持ちたくないので、個人保証は取り消してもらう事は可能ですか?
A: お義父様は9年前に行った約20万ドルの資金援助は、貸付金であったと主張されているのだと思います。その主張の根拠となる証拠、例えば契約書や合意書、場合によっては貸付を裏付ける手紙やメールのやり取りはありますか?ある場合には、その内容を確認する必要があります。そのような証拠がない場合には、相談者はどのような意図でその援助を受けたのかが重要になります。
もし資金援助がお義父様からの贈与であった場合には、返済する義務はありませんが、資金援助が贈与であったという事を立証しなければなりません。例えば、その当時のお義父様とのやり取りにおいて、「この資金は返す必要はないから、自由に使ってくれ」等といったものが残っていれば、贈与を立証する上で有利です。他方、あなたからお義父様に対し、「資金援助有難うございました。将来必ずお返しします」等というようなやり取りがあれば、資金援助は貸付金であったという色彩が強くなります。また、資金援助を受けてから今まで金利など一切お義父様に支払っておらず、また、お義父様から何ら金利払いや元本返済の催促がなかったとすれば、資金援助は贈与であった可能性が高くなります。従い、お義父様からの資金援助が貸付または贈与であったかは、それら証拠となる事実関係を吟味する必要があります。
個人保証の問題は資金援助とは別々に考えるべきです。相談者が個人保証をしている相手は銀行なので、たとえお義父様が帳消しにするといったところで、あなたの保証人としての銀行に対する責任は消えません。個人保証から解除されるためには、その個人保証書を確認する必要がありますが、銀行が扱う一般的なものであれば、おそらく銀行の同意なく個人保証を外すことは出来ないと思います。通常、銀行は個人保証を外しても、十分な貸付金に対する担保が存在しない限り、同意しないでしょう。従い、銀行に事情を説明し、個人保証解除の打診をする事をお勧めします。