離婚における婚姻財産分与に関する裁判において、まず初期のステップとして、当事者が所有する資産を明確にし、その評価を得る必要があります。財産分与に関する問題が、当事者間の話し合いで解決できず、裁判に発展した場合、裁判所は別居が始まった時点での資産評価ではなく、裁判の日における資産評価を基に判決を下します。これは、別居が始まった日から裁判の日までにかなりの年月が経っている可能性があり、別居が開始された日の資産評価を基に判決を下すと正当な判決にならない可能性があるからです。
当事者の一人が別居後も共有財産である家に住み続け、どちらかがローンの支払いをし続けているケースが多々あります。不動産の価値は通常上昇傾向にあり、又、ローンを支払いに応じて純資産額が増加します。裁判所は別居後に当事者それぞれが婚姻財産のメインテナンス、改築等、価値の向上にどのような貢献をしたかを考慮に入れて判決を出します。この点、別居後ローンを支払い続け、財産の価値の向上に努めてきた側が、財産分与の最終判決において、その貢献を正当に反映した判決を得るためには、その詳細を明確に記録として残し、裁判の際にそれを証拠として提出できるようにしておく必要があります。又、別居後に婚姻財産の価値の向上に貢献した場合、その度合い・重要性も裁判において考慮に入れてもらえるよう、過去における資産評価も入手しておくべきです。