コラム
MORE >
紛争解決・訴訟
土地や住宅を購入する際、登記上に記載されている「土地利用制限」(Restriction on Use)に注意する必要があります。これらは、購入後の利用や将来の売却に大きな影響を及ぼす可能性があります。 「土地利用制限」とは?「土地利用制限」とは、土地の使い方を制限する規則のことです。例えば、「特定の建材しか使用できない」「建物の高さやデザインに制限がある」「商業利用を禁止する」「どのような建物を建てられるか」「樹木の伐採禁止」といった基準が設けられ、分譲地全体の品質・景観・資産価値を守る役割を果たしています。 設定するのは主に開発業者や自治体(カウンシル)です。開発業者は分譲地の価値維持を目的に、自治体は都市計画や環境整備の一環として設定する場合があります。 違反した場合のリスク(NSW州での取り扱い)「土地利用制限」に違反したからといってすぐにトラブルになるとは限りませんが、NSW州では、土地に付帯する制限に違反する行為を行うと、以下のようなリスクが発生し、深刻な問題につながる可能性があります。 • 自治体からの差止命令・是正命令• 開発申請の拒否・証明書発行の拒否・建築の不許可• 違反建築物の撤去命令• 損害賠償請求• 近隣の住人からの法的措置• 売却時の困難(買主側の弁護士が違反を発見すると、購入希望者が契約を撤回する、大幅な価格交渉を受ける、売主に補償や是正義務を負わせる要求をされるといったような不利益が生じる可能性があります。) 「土地利用制限」は、その土地の承継人にも全面的に引き継がれる義務です。例えば、前の所有者が保護された樹木を伐採して違反した場合でも、現所有者はその是正責任を負い、再植樹や環境補償措置を命じられるリスクがあります。違反状態が未解消のままであれば、上記のような実務的リスクが極めて大きくなります。現所有者は過去の違反行為そのものについては責任を負いませんが、土地が制限に適合した状態に戻るまでの是正義務を免れることはできません。 弁護士に相談する重要性 「土地利用制限」は、不動産購入後の生活や投資に直結する重要な要素です。同制限の条件は複雑で不明瞭な場合が少なくありません。専門的な知識がなければ正確に理解するのは困難です。購入前に弁護士が確認すれば、既存の建物が制限に違反していないかをチェックでき、将来的なリスクを避けることが可能です。知らずに違反してしまうと、思わぬ損失やトラブルを招きかねません。購入・売却を検討される際は、必ず専門家にご相談ください。当事務所では、NSW、QLD、VICの不動産取引に関する豊富な経験を持つ弁護士が、契約内容や制限条項の確認、将来的なリスクの回避について丁寧にサポートいたします。初回相談のご予約や詳細については、お電話またはメールにてお気軽にお問い合わせください。
紛争解決・訴訟
離婚の際の財産分与 – マイホームの購入に親からの経済的援助を受けた場合 結婚後マイホームの購入する際、親からの資金援助を受けて購入する場合が多々あります。そのような状況において婚姻関係が決裂した場合、裁判所は親から受け取った資金を財産分与の際どうのように扱うのでしょうか。 一定の条件に基づいて返金が義務付けられていることを明記するローン同意書、担保証書、もしくはローンであることを確認した当事者間の話し合いの記録等なんらかの証拠がある場合、親から受けとった資金はローンであるとみなされます。受け取った資金が親からのギフトであった場合は返済の義務が伴いませんので、婚姻期間が長期にわたる場合は特に共有財産一部とみなされてしまう可能性が大です。親からの資金援助がローンであったかギフトであったかを考慮に入れ、当事者の共有資産の総額を算出しそれぞれの持ち分を決定する際、裁判所は、Family Law Actに明記されている様々な条件を考慮に入れます。 親からの資金援助がローンであったかギフトであったか明確でないケースが多々あり、離婚の際大問題に発展するケースが多々あります。例えば、親から$400,000の資金援助を受け$800,000のマイホームを購入し、すでにローンの支払が終わっている場合、この$400,000がローンであったかギフトであったかは共有財産の総額を定めるのに重要なポイントとなります。これは、その他の資産がなく資金援助の額が多きければ大きいほど重要な争点になっていきます。 子供に資金援助をする際は、弁護士をその時点で雇い、資金援助の意図を明確にしておくことです。これを怠ると子供が離婚することになった場合、離婚裁判に利害関係者として連名され裁判に出廷しなければならなくなったり、供述書を提出しなければならなくなり、長期間における重度のストレスを抱えることになります。更に裁判となると多額な弁護士費用がかかります。 離婚裁判の際弁護士費用に多額な資金を費やさないためには、財産分与に関する問題で事が裁判に進展ないよう、早期和解に向けて、初期段階において相手側と適切な交渉を開始することが重要です。